社説・コラム

　「ユニタール？　ユニセフだと思ってました」。事務所を訪れた人が、親善大使を務めてくださった黒田博樹さんのポスターを見て発した一言に、思わずため息が出ました。青いユニホーム姿は記憶にあっても、組織の名前は伝わっていなかったのです。

　国連訓練調査研究所、英語の頭文字をとってユニタール（ＵＮＩＴＡＲ）。中四国唯一の国連機関として、原爆ドームの向かい、広島商工会議所ビルに広島事務所を構えて１５年になります。焼け野原から目覚ましい復興を成し遂げた広島の平和への思いを世界に伝え、紛争を経験した国など全世界から研修生を受け入れ、人づくり、国づくりを支援してきました。

　職員はたいてい、電話を受ける際は「ユニタールです」と短く答えますが、こちらから掛ける時は「国連ユニタール広島事務所です」と、ゆっくり名乗ります。それでも名前を聞き返されることもよくあります。

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　平和な未来のために人を育てていく、地道ながらダイナミックなユニタールの活動について、スタッフがご紹介します。開設１５年を迎えた広島事務所は、まるで外国を訪れたかのような雰囲気。そのちょっと不思議な日常についてもお伝えしたいと思います。（守田葉子）

（２０１８年５月１日セレクト掲載）