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平和の彫り文字復元へ 補修進む世界記念聖堂

 国重要文化財の世界平和記念聖堂(広島市中区幟町)で、平和への願いを日本語で刻んだプレート「聖堂記」の補修が進んでいる。1954年の完成から60年以上たち、風雨で劣化して読みづらくなった彫り文字を、専門家が1字ずつ復元している。

 プレートは4・1メートル四方のコンクリート製。高さ45メートルある塔の壁面に掲げられている。「万国民の友愛と平和」など、聖堂建設に尽くした神父たちの思いが記されている。 当時の建設事業者が手彫りした209文字のうち、40文字がひび割れたり欠けたりしていたため、東広島市の造形作家石丸勝三さん(74)たちが5月下旬に修復を始めた。

 手本となる石こうのレプリカを作った後、劣化した箇所をくり抜いてコンクリートを流し込み、のみで文字を彫り直す作業。石丸さんは「建設当時の文字の微妙なカーブや深さまで、手彫りの味わいを忠実に再現したい」と話している。

 来年9月終了予定の耐震補強工事の一環。聖堂記の補修は、今月中旬にも終わる見込み。(堅次亮平)

(2018年6月7日朝刊掲載)

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