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植栽で背景見えなく 建物の高さ制限導入 広島市、原爆ドーム景観案

 平和記念公園(広島市中区)にある原爆ドームと原爆慰霊碑を結ぶ南北軸線の眺望景観について、市景観審議会の部会は15日、市役所で会合を開き、植栽で背景の建物を隠し、法的な高さ制限の導入を求める答申素案をまとめた。素案は松井一実市長から諮問を受けている審議会に報告し、市民意見の募集を経て、秋ごろに答申を取りまとめる。

 原爆資料館本館の下から北側を眺めた景観で、注視した際の視野角を約18度とし、ドームの背景に建物が何も見えない状態を目指すべき姿と設定。今より数メートル高い木を植えたり育成したりして建物を隠し、ドームへの見通しを遮る木は別の位置へ移植するとした。

 現在、市の要綱によるドーム周辺の建物の高さ基準はあるが、強制力はない。素案は景観法に基づく景観計画や条例など法的な制限を求め、植栽の遮蔽(しゃへい)効果を踏まえた上で、具体的な高さや範囲を設定するよう促している。

 昨年3月、諮問を受けた審議会が専門部会を設置。部会は計4回、会合を重ねて素案をまとめた。部会長の森保洋之・広島工業大名誉教授(都市計画)は「目標の姿を示せたのが成果。市民の心に響く景観にしてほしい」と話していた。(江川裕介)

(2018年6月16日朝刊掲載)

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