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[イワクニ 地域と米軍基地] 岩国基地強化を懸念 米大統領の在韓米軍縮小・撤退示唆

 米朝首脳会談後、トランプ米大統領は、北朝鮮と対話中の米韓合同軍事演習の中止を表明し、在韓米軍の将来的な縮小・撤退も示唆した。今後の動向次第では、在日米軍全体や、朝鮮半島に近い米軍岩国基地(岩国市)に影響が及ぶ可能性がある。地元住民からは、不透明な情勢に対する不安の声や、基地の機能強化を懸念する声も上がる。(馬上稔子、坂本顕)

 会談から3日後の15日。岩国基地ではこの日も、海兵隊の戦闘機が離着陸を繰り返した。「もし在韓米軍が撤退すれば、日本の米軍基地は東アジア戦略の最前線になりかねない。事故の危険性や騒音の悪化につながらないか」。同市麻里布町の会社員増田直哉さん(55)は不安がった。

 ただ、半島情勢の行方やトランプ氏の発言の実効性は不透明だ。同市保津町の藤田雄一さん(68)は「トランプ発言は二転三転することが多い。会談自体は対話を進めた一歩と評価するが、今後どうなるのか分からない」。同市室の木町の井上靖子さん(78)は「日本人拉致問題も残っている中、北朝鮮を本当に信用できるのか」と語った。

 基地機能強化に反対する市民団体からは、在日米軍や岩国基地の増強に対する懸念の声が相次いだ。

 同市の「瀬戸内海の静かな環境を守る住民ネットワーク」の久米慶典顧問(62)は「半島の緊張緩和は歓迎すべきだが、在日米軍は対中国が目的で、弱体化させることはないだろう。半島に近い岩国は、特に在韓米軍の代わりに強化される可能性がある」と指摘する。

 廿日市市の「岩国基地の拡張・強化に反対する広島県住民の会」の坂本千尋共同代表(65)は「これ以上、岩国の負担増はあってはならない。国や地元自治体は絶対に拒否してほしい」と力を込めた。

(2018年6月16日朝刊掲載)

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