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米軍低空飛行1012件 広島県内の目撃最多 本年度上半期

 広島県内で米軍機とみられる低空飛行の目撃件数が2012年度上半期(4~9月)、9市町で1012件に上り、調査を始めた1997年度以降で最多となったことが20日、県のまとめで分かった。県は、垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの国内配備などで米軍機に対する住民の不安が高まったことが要因の一つとみている。(野崎建一郎)

 目撃件数は、11年度上半期(675件)の1・5倍に増加。目撃日数は115日に上り、「3日間に2日」に近いペースで目撃されたことになる。

 市町別では、北広島町の357件が最も多く、廿日市市282件▽江田島市170件▽安芸太田町129件▽大竹市34件▽広島市25件―と続く。県北部の山間部と米海兵隊岩国基地(岩国市)に近い県西部が大半だった。

 月別では6月が340件で最多だった。日米両政府が墜落事故の相次いだオスプレイを岩国基地に先行搬入することを決めた時期で、県は「米軍機の飛行に、多くの住民が不安を持ったのではないか」とみる。

 低空飛行訓練について日米両政府は、学校や病院に配慮し、土日祝日は「必要不可欠なものに限る」と申し合わせる。しかし、9月には三次市の作木小の上空を飛行。土日祝日の目撃情報も43件に上り、前年度同時期の25件を上回った。

 「岩国基地の拡張・強化に反対する広島県西部住民の会」の坂本千尋事務局長(59)は「週末や夜間の訓練が増え、住民の不安や騒音被害は大きくなっている」と指摘。暮らしへの影響を調査するよう県に求める。

 県は、騒音を測定する機器の設置や、低空飛行訓練中止の米軍への働き掛けを引き続き政府に要請していく。

(2012年12月21日朝刊掲載)

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