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原発事故で全町避難 浪江町の馬場町長死去 「再生の手掛かりに」被爆地広島と交流

 福島第1原発事故当時からの福島県浪江町長で、全町避難の苦難を乗り越えるために力を尽くしてきた馬場有(ばば・たもつ)さんが6月27日、胃がんのため死去した。69歳。住民の被曝(ひばく)に向き合うため、被爆地広島との交流を続けた。

 自民党県議を経て2007年に町長に。もともとは原発推進派だったが、原発の安全神話が崩れたことで思い直し、反原発を鮮明にして国や東京電力への鋭い批判を繰り返した。苦しむ住民の救済のために、東京電力に慰謝料増額を求めた和解仲介手続きの先頭にも立った。

 目を向けたのが広島だった。2012年から8月6日の平和記念式典に参列。被爆者健康手帳を参考に、「放射線健康管理手帳」を独自に発行し、被爆者と同様の援護を国に求めるために広島市の協力を求めた。

 制度だけではない。2012年の中国新聞の取材には「被曝した同士、心を一つにできる。復興を遂げた街を見て、浪江再生への手掛かりと力にしたい」と語っていた。風化が懸念される3・11の被災地と、被爆地を結び付けるキーマンだった。(岩崎誠)

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