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原爆ドーム保存せよ 平和都市のシンボル 県観光連盟が呼びかけ(広島県)

 原爆の惨禍を物語る広島市元安川畔の原爆ドーム(旧産業奨励館)は損壊がひどいため撤去しようという意向が市当局をはじめ各方面で高まっているが、県観光連盟ではこれに対し近く市観光協会、交通業者など観光関係に呼びかけ、原爆ドーム保存期成同盟(仮称)を結成することになった。

 同連盟が原爆ドームの撤去反対理由として挙げているのは(1)原爆ドームは広島市民が平和を希求しているシンボルである(2)歴史的記念物であるとともに観光資源に乏しい広島市にとっては重要な観光資源であり、一たん破壊したら後に復元することはむずかしいの2点で、ドームの永久保存のため同保存期成問題を通じて約600万円の浄財を募り、この維持費にあてることになっている。

 なお市緑地課でもこれが折衷策(?)としてドームを取巻く記念公園造成のためにもぜひ保存すべきで、平和記念公園造成5カ年計画国庫補助の最終年に当る今年、3,500万円補助のうち100万円をさき、現在荒れるに任せていた原爆ドームに新しく東側70メートルに堅固な金網を張り(既存金網は補修)人々の立入を厳禁することになった。

 これが完了すると向う10年間は大丈夫で、たとえドームの崩壊という最悪事態が起ってもたっぷりと周囲を金網で囲っているため人命に危険はない、と同課では言っている。

(1954年5月21日朝刊掲載)

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