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原爆被害者の会が解散 広島県坂・今月末 高齢化で後継難

 広島県坂町の被爆者でつくる「坂町原爆被害者の会」が7月末で解散することが25日、分かった。会員の高齢化で役員の担い手がいなくなり、組織の継続が難しくなったという。同会は毎年8月6日、町内の追悼碑前で慰霊式を営んでいたが、ことしは開催を断念する。

 刎本(はねもと)正照会長(86)によると、会は町内23支部、会員約470人。支部長などの任期は3年だが、会員の高齢化で後任がおらず、近年は幹部が80代の支部長を説得して留任してもらう状況が続いていた。

 本年度は改選の年だったが、大半の支部長が体力面などで「これ以上は続けられない」などと離任の意向を示したため、継続は難しいと判断。5月下旬の総会で解散を提案し、受け入れられた。現在、各支部を通じて会員一人一人への周知を進めている。

 会は1956年発足。被爆50年の95年、同町の北新地運動公園に追悼碑を建立し、毎年8月6日に慰霊式を営んできた。昨年は会員や遺族、地元の児童たち計約100人が参列した。

 刎本会長自身も会長を3期務めてきた。「子どもたちの姿に『続けなくては』とも思うが、体力と気力が持たない」と残念がる。慰霊式に合わせて実施していた、碑の清掃や町内の原爆死没者名簿の更新については、継続する方法を検討していく。

 広島県被団協に加盟する地域団体は、昨年2月時点で坂町を含め34団体。関係者によると、坂町の会員の一部には存続を望む声もあるが、具体化はしていないという。(明知隼二)

(2018年7月26日朝刊掲載)

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