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被爆前の生活証言 自宅跡遺構見つかった今中さん 原爆資料館地下調査で催し

 原爆資料館(広島市中区)の本館下の発掘調査をテーマにした催しが28日、国立広島原爆死没者追悼平和祈念館(同)であった。貿易商を営んでいた自宅跡の遺構が見つかった今中圭介さん(82)=安佐南区=が被爆前の暮らしぶりや、家族の原爆被害を証言した。

 今中さんは発掘調査で見つかった中庭の池の跡について「被爆前は橋が架かっていて、僕はそこに立ってよく歌った」と紹介。ビー玉やめんこで遊んでいたとも振り返った。

 家族は1945年春に八木村(現安佐南区)に疎開したが、8月6日、姉が市中心部の銀行に勤めに出て帰らなかったと証言。「母は亡くなるまで『いつ帰ってもいいように』と家のどこかの鍵を開けておくよう言っていた」と家族の悲しみを語った。

 催しは被爆前の街の証言を集める市民団体「ヒロシマ・フィールドワーク実行委員会」の主催。約40人が参加した。(水川恭輔)

(2018年7月29日朝刊掲載)

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