×

ニュース

天神町筋が第1候補 被爆遺構公開 広島市懇談会 提案へ

 平和記念公園(広島市中区)一帯の地下にある原爆で壊滅した旧中島地区の遺構を掘り起こし、展示公開する広島市の計画について話し合う懇談会の初会合が30日、中区であった。被爆前、現在の原爆資料館東館北側に広がっていた繁華街の一角、「天神町筋」を第1の候補地として市に提案すると決めた。

 懇談会は2020年度中の公開を目指して市が設置し、考古学、文化財などの専門家や被爆者たち委員7人で構成。広島大の三浦正幸名誉教授(建築史)を座長に選んだ。委員の一人で市民団体「広島平和記念公園被爆遺構の保存を促進する会」の多賀俊介世話人代表が、市民から提案を受けた13の展示候補地を説明した。

 会合では、公園景観の柱を成す原爆ドームと原爆慰霊碑、資料館本館を結ぶ南北軸線に近い場所は対象外とすることで一致。ドームと資料館を結ぶ動線上にあり来場者が見学しやすいことや、多くの建物の遺構が見つかる可能性が高い点を踏まえ、天神町筋を推すことにした。

 天神町筋は被爆前、商店や旅館などが立ち並んでいた。02年開館の国立広島原爆死没者追悼平和祈念館の建設に伴い、地下から路面の舗装や病院建物の基礎などの遺構が見つかった。

 また、00年に森永食糧工業(現森永製菓)広島支店の遺構が確認された広島国際会議場北側のエリアをもう一つの候補地とした。

 市はこの日、遺構の状況を調べる試掘調査を18年度中に実施する方向で検討していると報告。試掘調査は当初、19年度以降を予定していた。次回会合は9月。懇談会が示した候補地を踏まえ、市が試掘調査場所を提案する。(水川恭輔)

(2018年7月31日朝刊掲載)

年別アーカイブ