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爪痕・復興 写真は語る 原爆資料館発見 被爆翌年 会場撮影

 1946年8月7日、広島護国神社跡(現広島市中区の旧市民球場跡地)で開かれた「戦災供養盆踊り大会」の会場一帯を撮影した写真が残っていた。原爆資料館(中区)が米国での調査で見つけ、今年7月にデータを取得した。11日に一帯で復活する「ひろしま盆ダンス」(中国新聞社主催)を前に、同館は「原爆による爪痕と復興のつち音が共に感じられる貴重な資料」としている。

 写真は市内で写真館を経営していた故川本俊雄さんの撮影。盆踊り大会当日の開始前とみられ、多くの人が太鼓やぐらを取り囲んでいる。爆風で倒れたままの護国神社の鳥居や、住宅不足を受けて市が建設を進めた市営住宅も見て取れる。

 資料館によると、同じカットは「広島原爆戦災誌」(市が71年発行)に掲載されたが、その後ネガもプリントも所在が不明になっていた。昨年秋、調査に渡米した職員が米国科学アカデミーでプリントを発見。戦災誌の写真掲載は小さく、やぐらはほとんど見えなかったが、今回のプリントではっきりと確認できた。

 資料館学芸課は「知られていたカットだが、鮮明な分、やぐらや倒れた鳥居などがよく見える」という。同館がこれまで収集した写真で当時の会場全景が分かるカットが確認されたのは初めて。今後、公開を検討する。(水川恭輔)

(2018年8月10日朝刊掲載)

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