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スタジアムに平和の祈り サンフレ・長崎 ピースマッチ

 73年前、原爆を投下された被爆地同士が、サッカーを通じてスポーツができる平和に感謝した。11日に広島市安佐南区のエディオンスタジアム広島であったJ1のサンフレッチェ広島とV・ファーレン長崎の「ピースマッチ」。試合前には平和を願うイベントがあり、核兵器廃絶への思いを一つにした。

 スタジアム前に設置されたピースメッセージボードには、一面に思いが書き込まれた。「広島と長崎だからできること」と書き込んだ長崎県諫早市の小学校教諭木村理絵さん(41)は「家族で平和と原爆について考えたくて息子を連れてきた」と語った。

 サンフレは次代へ思いをつなぐため、折り鶴を持参した小中学生をバックスタンド自由席に無料招待。水色の鶴を折ってきた東広島市の小学3年泉谷瑠花さん(9)は「今の時代では考えられないことが昔は起きていた。もうあってほしくない」と願った。

 試合前のセレモニーでは、広島市立広島商業高(東区)と長崎市立長崎商業高の生徒が「私たちは共有した被爆体験を次世代に語り継ぎます」などと共同平和宣言を読み上げた。被爆者代表として参加した広島県被団協(坪井直理事長)の箕牧智之副理事長(76)=広島県北広島町=は「平和な世の中だからスポーツができる。その素晴らしさをサッカーが好きな若い人たちに伝えたい」と思いを込めた。

 広島長崎県人会の約30人もスタンドで声援。大浦史郎会長(67)=広島市中区=は「被爆地に本拠地を置くプロサッカーチームは世界に二つしかない。だからこそJ1で来年以降も続けてほしい」と平和を願う企画の継続を期待した。(川手寿志、矢野匡洋)

(2018年8月12日朝刊掲載)

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