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戦死者伝える「芳魂録」 美和の民家で男性見つける

 岩国市美和町の民家の屋根裏で、同町出身の戦死者を網羅した冊子「芳魂録」が見つかった。戦争が地域にもたらした悲しみを、活字が伝えている。(加田智之)

 同市南岩国町の会社経営広実陽一さん(68)が昨年、実家の屋根裏で見つけた。旧美和町の社会福祉協議会が1974年ごろに作製したもので、町出身の戦死者を悼む目的で作られたとみられる。

 1877(明治10)年の西南戦争から太平洋戦争までの戦死者の名前や顔写真、戦死した場所や死因が書かれている。1ページ4人ずつの計101ページ。軍人だけでなく、学徒動員や挺身(ていしん)隊だった10代少女の名前もあった。

 広実さんの叔父に当たる谷本義美さんの名前もあった。「昭和二〇年五月一〇日爆死」「享年一七才」。戦争で亡くなったのは知っていたが、爆死と知って涙が出た。

 谷本さん以外にも知人の親戚の名前が何人も載っており、「戦争が身近な人を巻き込むことがよく分かった」と話す広実さん。戦争を知らない世代もこの一冊に触れ、記憶の風化を防ぐ一助になればと願っている。

 広実さん☎090(8710)1339。

(2018年8月15日朝刊掲載)

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