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元慰安婦の姿 積年の記録 「沈黙」 広島できょうから上映

 在日朝鮮人2世の女性作家で映画監督の朴寿南(パク・スナム)さん(83)は、1990年代に従軍慰安婦問題が日韓で大きく注目されるのに先立ち、80年代末から元慰安婦たちを取材、肉声を記録してきた。その蓄積を刻む新作映画「沈黙」が15~21日、広島市西区の横川シネマで上映される。

 朝鮮半島出身の被爆者たちを取材した映画「もうひとつのヒロシマ―アリランのうた」(86年)などで知られる朴監督。慰安婦問題を巡る2015年の日韓両政府の合意への疑問にも突き動かされ、制作に挑んだという。

 かつて映画「アリランのうた―オキナワからの証言」(91年)で取り上げ、今作にも登場する裵奉奇(ペ・ポンギ)さんは、戦時中に沖縄・渡嘉敷島へ連れてこられ、戦後も帰国がかなわず沖縄で没した。市民団体などの支援が乏しかった時代から彼女たちに寄り添い、政治的思惑に左右されるさまも見つめてきた朴監督は、タイトルの「沈黙」について「人間の一番深い大きな怒り」と解説する。

 連日午前10時半から1回上映。(道面雅量)

(2018年8月15日朝刊掲載)

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