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米被爆者団体へ感謝状 ロス市議会 長年の証言活動に

 米国ロサンゼルス市を中心に活動する被爆者団体「米国広島・長崎原爆被爆者協会」(ASA)に、同市議会から感謝状が贈られた。「核使用の悲劇的な結末について長年伝えてくれた」という理由で、ASAは「これまでになかったこと」と喜んでいる。

 贈呈式は、広島と長崎の原爆の日を挟む今月8日。被爆者と支援者8人が出席し、更科洵爾(さらしな・じゅんじ)会長(89)がポール・コレツ市議(民主党)から受け取った。議場では続いて核兵器の先制不使用や核兵器禁止条約への賛同を政府に求める決議が全会一致で採択され、更科さんも支持演説をした。米主要都市ではボルティモア市に次ぐ決議という。

 ロサンゼルス市はニューヨーク市に続く原爆使用国で人口第2の都市。そこで被爆体験を語り続けた努力に光が当たった。被爆当時は旧制広島一中(現国泰寺高)生徒だった更科さんは「私たちの力は小さいが、米国の人たちが『自分の身に起き得ることだ』と気付き始めた表れならば、本当にうれしい」と話す。

 ASAは昨年、亡くなった前会長の据石和さんを中心に、広島県医師会が医師団を派遣する北米被爆者健診の実施協力や、学校や若者への証言を続けてきた。

 感謝状のきっかけをつくったのは非政府組織(NGO)「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN(アイキャン))のパートナー組織である「社会的責任のための医師の会」(PSR)。全米の地方議会に条約賛同決議を働き掛けている。同会のロザンゼルス支部のジミー・ハラ医師らから決議を持ちかけられたコレツ市議が「地元市民に体験を語ってくれる被爆者の功績があってこそ」と提案した。(金崎由美)

(2018年8月18日朝刊掲載)

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