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「抑留犠牲者 国は情報を」 東京で追悼 広島の相原さんあいさつ

 第2次世界大戦後にシベリアやモンゴルに抑留され、強制労働中などに亡くなった犠牲者の追悼集会が23日、東京都の千鳥ケ淵戦没者墓苑であり、広島市南区の相原由美さん(79)が遺族代表としてあいさつした。相原さんは、シベリアで亡くなった父をしのび、犠牲者に関する情報を遺族へ詳しく迅速に知らせるよう国に求めた。

 相原さんの父、上野米次郎さんは抑留中の1946年に31歳で亡くなった。国から死亡通知が遺族に届いたのは93年8月だった。

 相原さんは、厚生労働省に関連資料を請求できると知り、昨年、死亡前の医療記録を入手した経緯に言及。「つらい、長い戦後だった。国はもっと迅速に、親切に情報を提供してほしい」と述べ、献花した。

 米次郎さんは南満州鉄道の関連会社の社員で、一家は終戦時、旧満州(中国東北部)に住んでいた。45年9月、米次郎さんは道路工事の作業員として集められた後、行方が分からなくなったという。

 医療記録によると、米次郎さんはシベリアで森林伐採の作業中に倒木の下敷きになり、約1カ月の入院を経て死亡していた。相原さんは「50年前に亡くなった母にも知らせたかった」と話す。

 厚労省は、シベリア、モンゴルの抑留者を約57万5千人と推計。犠牲者の特定と通知を現在も進めており、請求に基づき遺族たちに個別資料を提供している。追悼集会は抑留者や遺族を支援する民間団体が主催し、約200人が参列した。(野崎建一郎)

(2018年8月24日朝刊掲載)

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