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連載・特集

地上イージス 二つの候補地 <3> 秋田・新屋演習場

憤る地域住民 住宅密集地 なぜ適地

 陸上自衛隊新屋演習場に最も近い秋田市勝平地区コミュニティセンターで、8月18、19日に開かれた防衛省の住民説明会。同地区では初開催で、詰め掛けた計485人が防衛省の説明者と対峙(たいじ)した。

 「演習場のそばは住宅地で、学校もある。なぜ最適候補地なのか」「町内会が反対しているのに押し付けるのか」

 同省は北朝鮮が数百発の弾道ミサイルを保有すると強調し、配備の必要性を説く。その上で「現地調査で問題がないことを示したい」と不安の払拭(ふっしょく)に努めたが、住民の意見は厳しい批判ばかり。一部にあった賛意の声はかき消された。

 現在、同省は「最適候補地」の言葉を使用していない。6月初めに秋田県庁を訪れた福田達夫防衛政務官が発言したが、湧き上がる地元の反発を受けて封印せざるを得なくなった。

 演習場に隣接する16の町内会で構成される新屋勝平地区振興会の人口は約1万3千人。戦後間もなく開発が始まり、市中心部にも近いため急激に宅地化が進んだ。

発生する電磁波

 住民はイージス・アショアの強力なレーダーが発する電磁波の人体や環境への影響を懸念し、配備によって逆に相手側から攻撃されることに不安を抱く。

 祖父が戦後に入植、開墾したという同市新屋松美ガ丘北町の元小学教諭遠藤真利子さん(64)は「住民を絶対守ると説明するが、住宅地に逃げ込むシェルターはない」と強調。「住民が住み良い環境に築き上げた地に、基地を造るのは納得がいかない。防衛省との溝は埋まらない」と憤る。

 2日間で計10時間以上の説明を終えた同省の五味賢至戦略企画課長は「秋田市内の他の地域以上に住民の問題意識が高い。まだまだ理解が得られていない」と認めた。

配備「政府判断」

 配備には地元の理解が重要だとしてきた同省。「理解を得たと誰が判断するのか」との報道機関の問い掛けに、五味氏は「さまざまな状況を踏まえて、配備するかどうかは政府が判断する」と述べるにとどめた。

 「説明が繰り返されるたびに不安や不信、疑念が逆に高まっている」「住宅密集地に迎撃ミサイル基地を配備するなど許されるものではない」  新屋勝平地区振興会は7月の臨時理事会で、配備計画への反対を全会一致で決議。8月24日、県と市に計画撤回の姿勢で国に臨むよう求める要望書を出した。

 「最初からの疑問点はただ一点。なぜ住宅密集地に造るのかだ」。佐々木政志会長が抱く疑念は晴れていない。(渡辺晋輔)

陸上自衛隊新屋演習場
 秋田市の西部に位置し、面積は1・07平方キロ。南北に約2キロ、東西に最大約0・8キロ、全周は約5キロ。東に住宅地があり、北には県立野球場や県立総合プールなど公共施設のほか、県産業技術センターなどが立ち並ぶ。西は海岸地帯。

中国新聞・河北新報合同連載

(2018年9月6日朝刊掲載)

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