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原爆ドーム年度内補修 広島市 専門家ら工法合意

 広島市は13日、世界遺産の原爆ドーム(中区)の補修を議論する保存技術指導委員会を市役所で開いた。建設時から残る鋼材は、さびを化学処理してから塗装するなど具体的な工法について、専門家たちが市の案に合意した。市は本年度内の着工を目指し、文化庁との協議を進める。

 大学教授たち委員12人のうち10人が出席した。鋼材の塗装では、塗る前に除去しきれなかったさびを化学処理しておく比較的新しい手法の採用で合意。従来より長い、20~30年の保護効果が期待できるという。委員からは「事前にドームの建設時と同じ年代の鋼材などで試験すべきだ」などの意見が出た。

 このほか、壁のれんがの目地の補修や、窓部分の劣化した柱の補修などの工法でも、ドーム本体への負担や耐久性、外観への影響などの観点から意見を交わした。いずれも市側の提案通りに進めると確認した。

 原爆ドームに関し、市は大規模補修や耐震工事を不定期に実施しており、今回の補修は2015年度以来となる。足場を組み、約3年に1度の健全度をみる調査もする予定。工期は4~5カ月を見込む。

 委員長の三浦正幸・広島大名誉教授(建築史)は「劣化した部分を修復しながら、ドームを少しでも長く被爆直後の姿で残せるようにしたい」と話した。(明知隼二)

(2018年9月14日朝刊掲載)

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