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地上イージス 阿武町長が反対表明

 地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」計画で阿武町の花田憲彦町長が反対を表明した20日、候補地のある萩市の藤道健二市長は「現時点で是非は判断しない」と従来の見解を繰り返した。防衛政策が与えるまちづくりへの影響を巡っても両者の考え方は異なり、地元自治体で対応に温度差が生じている。(和多正憲)

 「町民の安全安心を脅かすものを排除するのは町長の責務。反対を明確に表明する」。町議会が計画撤回を求める請願書を全会一致で採択した後、花田町長は発言を求めて登壇。満員の傍聴席を前に言い切った。

 請願書は地元16自治会と農事組合法人が提出。迎撃ミサイルの落下物の危険に加え「地域振興や移住定住の妨げになる」と訴える。周辺自治体と合併せず人口3300人余りの町にとって、農畜産業や定住促進への影響を懸念する声は多い。

 花田町長も「町が進めてきたまちづくりに逆行する」と町民側の訴えに呼応する。防衛政策は「国の大義」としながらも「私の大義は町民の安全安心の確保だ」と力を込めた。

 一方、旧むつみ村など7市町村が広域合併した萩市。藤道市長は、国防がまちづくりに与える影響について花田町長とは異なる考え方を見せる。

 「まちづくりと相いれないだけで反対の立場は取らない。萩市は地方公共団体であり、国の防衛政策で守られている」。藤道市長は10日の市議会定例会でこう答え、市民の安心安全に加え「国益」も重要な判断材料との見解を示している。

 この日の記者会見でも花田町長の表明に対し「コメントする立場にない」とする一方、「まちづくりの邪魔になるからと反対することはない」と述べた。

 市議会は7月、配備計画撤回を求める市民団体の請願書を不採択に。市議会へ請願書を提出し、この日の町議会も傍聴した藤井郁子共同代表(66)=萩市=は「防衛政策は市民生活やまちづくりに深く影響する。国益だけで是非は判断できないはずだ」と藤道市長の態度を批判する。

(2018年9月21日朝刊掲載)

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