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オランダ兵捕虜「被爆死」登録へ 長崎祈念館 森さんが調査

 被爆死した米兵捕虜の調査と慰霊を続ける被爆者の森重昭さん(81)=広島市西区=が、長崎で被爆死したオランダ兵捕虜1人の遺族を新たに捜し出した。その意向を受けて25日、国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館(長崎市)に登録申請した。

 マクシミリヤン・ベルナルルシ・ヨーセフ二等兵。インドネシア・ジャワ島で日本軍の捕虜となり長崎へ移送され、原爆投下の13日後に22歳で亡くなった。

 長崎の原爆では、森さんは既にオランダ兵3人と英国兵1人の遺影を同祈念館に登録している。今回は遺族がヨーセフさんの写真を持っていないため名前だけとなる。今月届いた登録申請書を手に、森さんは「遺影も入手し、追加登録したい」と願う。

 長崎原爆戦災誌によると三菱重工業長崎造船所内の「福岡俘虜(ふりょ)収容所第14分所」に収容された連合国捕虜のうち、オランダの8人が被爆死したと推定できる記録があるが、全容は不明。森さんは約20年前から同国の新聞社や現地の日本人、戦争捕虜の実態を調査する日本の市民団体「POW研究会」に協力を求め、遺族を捜してきた。「捕虜の遺族が長崎を訪れたら故人をしのべるようにしてあげたい。原爆で失われた命の尊さは広島も長崎も同じ」と語る。(金崎由美)

(2018年9月24日朝刊掲載)

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