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「黒い雨地域 根拠乏しい」 広島地裁で原告側

 広島の原爆投下後の「黒い雨」を浴びて健康被害を受けたのに、被爆者健康手帳などの交付申請を却下したのは違法として、広島市や広島県安芸太田町などの被爆者たち計88人が、市と県に却下処分の取り消しを求めた訴訟の口頭弁論が10日、広島地裁であった。9月に追加提訴した女性1人が意見陳述した。

 追加提訴したのは、旧筒賀村(広島県安芸太田町)で黒い雨を浴びたという安芸太田町の中津サワコさん(80)。旧安野村坪野(同町)で黒い雨を浴びて提訴していた夫が5月に81歳で亡くなったため、遺志を継ごうと原告に加わった。「筒賀村は調査もされずに(国の援護制度の対象となる)大雨地域から外された。調査されていれば長い間、苦しむこともなかった」と訴えた。

 原告側は「大雨地域の線引きは厳密ではなく、制度の対象に含まれるか否かを区別する合理的根拠は乏しい」と主張した。

(2018年10月11日朝刊掲載)

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