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旧天神町筋を年内試掘 被爆遺構公開 広島市懇が決定

 広島市中区の平和記念公園地下に残る被爆遺構の展示公開に向けた市の懇談会の第2回会合が15日、同区であった。原爆資料館東館の北側で、被爆前に木造家屋や医院が立ち並んでいた「旧天神町筋」の一角を試掘場所に決めた。市は年内に掘削を始め遺構の残り具合が原爆による一帯の壊滅を伝えるのに適当と会で判断されれば、展示場所にする。

 考古学などの専門家や被爆者たち委員7人が出席した。7月の初会合で絞った東館北側と、広島国際会議場北側の二つの候補エリアについて、事務局の市が東館側を「原爆ドームから資料館への回遊性が高まる」と推し、委員も同意した。

 市は、試掘地点に峠三吉詩碑の近くを提案。南北に走る天神町筋を挟み東側に小児科、西側に間口5メートルほどの木造家屋などが軒を連ねていたとみられる。委員からは、被爆前後の記録が比較的多い大きな旅館や酒店があった別地点を推す声も出たが、市の案に「民家の密集の遺構は、多くの市民が犠牲となったことを効果的に伝えられる」と賛成の意見が出て、選ばれた。

 年内に同碑近くを3区画(各幅0・5メートル、長さ5~10メートル)に分けて試掘する方針。適した遺構が見つかれば、管理や活用の整備方針を策定する。見つからなければ、別の場所を再検討する。2020年度中の公開を目指す。(水川恭輔)

(2018年10月16日朝刊掲載)

平和記念公園(爆心地)街並み復元図(中国新聞社作成)

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