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事前の平和学習 サポート好感触 修学旅行誘致へ広島市 関東で初の教員講習会

 広島市が、中高生の多い関東圏からの修学旅行の誘致に力を入れている。選ばれない理由の一つに事前の平和学習の難しさがあるとし、横浜市で教員向けに指導方法の講習会を初めて開き、好感触を得た。迎える児童生徒数が横ばいで推移する中、被爆80年の2025年度に35万人とする目標を掲げ、PRを強める。(江川裕介)

 9月5日に開いた講習会には、神奈川県内の中高から72人が参加した。広島市職員がモデルコースを紹介した後、市教委職員が同市の平和教育について解説した。学習段階に応じた指導のポイントや、原爆資料館のホームページ(HP)に載った被爆資料の活用方法なども説明した。

 市によると、参加者からは「自分の学校で学習プログラムを考えたい」「広島への修学旅行を検討する」など、前向きな声が多く寄せられたという。

 市内への修学旅行生は1985年度に57万3072人のピークを迎えた後、少子化を背景に減少。ここ10年は30万~33万人台で推移する。2017年度は32万1938人。うち2割が関東からで、市は学校数の多さなどから、掘り起こしの余地があると分析する。

 市はことし4月、東京事務所に旅行会社出身の専任職員を置き、本年度に約400校を目標に訪問を続けている。国の被爆体験伝承者の派遣事業のチラシを配り、事前学習への活用を促す。市観光政策部は「被爆の実態を学ぶ方法を教員に知ってもらえれば、修学旅行先に選ばれやすくなる。事前講習会などの拡充も検討したい」としている。

(2018年10月17日朝刊掲載)

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