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「核廃絶の機運後退」 INF条約 広島知事が懸念

 トランプ米大統領が中距離核戦力(INF)廃棄条約からの離脱方針を表明した問題で、広島県の湯崎英彦知事は23日の記者会見で「核兵器の廃絶に向けた機運を非常に大きく後退させる」との懸念を示した。その上でトランプ氏に「離脱ではなく、条約が再び有効となるよう粘り強く交渉してほしい」と注文した。

 湯崎知事は1987年に米国と旧ソ連が結んだ条約について「米国とロシアだけの問題ではなく、グローバルな安全保障に大きく関わっている」と指摘した。破棄されれば「核戦争を引き起こすリスクが非常に高い兵器が再配備され、性能などを含めた競争となりかねない」と危惧した。

 その結果、核兵器の数が増え、偶発的なケースも含めて核兵器が再び使われる恐れが高まると警戒。「核兵器を減らしていこうという動きと真逆になり、核兵器廃絶に向けた全体の機運にもマイナスの影響を与える。ロシアが守らないから抜けるのではなく、履行を求めて溝を埋める努力を続けてほしい」と望んだ。

 日本政府には「唯一の被爆国として、米国に離脱しないよう働き掛ける役割を果たしてほしい」と訴えた。県としても、トランプ氏とロシアのプーチン大統領に広島・長崎への訪問を呼び掛け、被爆の実態に直接触れる機会を設けるよう要請していくと強調した。(村田拓也)

(2018年10月24日朝刊掲載)

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