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ヒロシマ怒りの声相次ぐ 核兵器禁止条約批准促進案 日本反対

 国連総会の第1委員会(軍縮)で日本政府が1日、核兵器禁止条約の批准を促す決議案に反対したことなどを受け、広島の被爆者や非政府組織(NGO)「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN(アイキャン))に加わる市民たちから怒りの声が相次いだ。

 「許せない。核兵器廃絶の訴えは、口だけではないか」。広島県被団協の佐久間邦彦理事長(74)は、日本政府の姿勢に憤る。

 二つの県被団協などは一日も早い廃絶を目指し、各国に禁止条約の批准を迫る「ヒバクシャ国際署名」を推進。日本被団協の代表者は10月、国連に計約830万筆の署名の目録を届けた。「被爆国が率先して批准すれば、ほかの国も促され、朝鮮半島の非核化にも貢献できる」と訴える。

 日本の廃絶決議案は「核の傘」を提供する米国への配慮から禁止条約への直接の言及を避けた。もう一つの県被団協(坪井直理事長)の箕牧(みまき)智之副理事長(76)は「日本政府が言う保有国と非保有国との橋渡しの道筋も見えない」と疑問視する。

 市民団体「核兵器廃絶をめざすヒロシマの会」(HANWA)の森滝春子共同代表(79)も「禁止条約という国際社会の廃絶への流れに逆らう姿勢は、橋渡しどころか分断の溝を深める」と批判。「政府を批准へと動かす広島からの訴えが欠かせない」と強調する。

 国連での禁止条約の採択に貢献し、昨年のノーベル平和賞を受賞したICANの川崎哲(あきら)国際運営委員(49)は「棄権でなく反対票を投じ、条約そのものを批判する姿勢を明確にした。本当に橋を渡したいなら、禁止条約の価値も認めるべきだ」と訴えた。(水川恭輔、田中美千子)

(2018年11月3日朝刊掲載)

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