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南米の被爆者 高齢化が顕著 健診の医師ら報告 広島県庁

 ブラジルなど南米4カ国で被爆者の健康診断をした医師たちが5日、広島県庁で田辺昌彦副知事と会い、活動状況を報告した。訪れた被爆者は55人と減少傾向にあるとして「国内と同様に、高齢化が顕著だ。広島からできる支援を続けたい」と語った。

 医師団は広島県が派遣した。パラグアイ、ペルー、ボリビアを含めた4カ国を10月8~15日に訪れ、広島、長崎両県の医師3人が現地の病院などで部屋を借りて診察した。受診者の平均年齢は82・2歳で、前回の2016年から2・3歳上昇。1人に乳がんの疑いがあると判明した。

 派遣は、国の在外被爆者支援事業の一環で1985年に始まった。総団長で県感染症・疾病管理センター(広島市南区)の桑原正雄センター長(71)は「家族の付き添いが増えた印象だ。言葉の壁もあり、現地で専門の医師を育てる必要性を感じた」と振り返った。

 受診者は85年の133人をピークに減少傾向が続く。広島赤十字・原爆病院(中区)の加世田俊一副院長(65)は「受診を心待ちにしている人が多くいた。被爆地のノウハウを伝える海外研修をさらに進めるなど、広島からできる支援を続けたい」と意気込んだ。(木原由維)

(2018年11月6日朝刊掲載)

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