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日本も核禁条約締結を 首相宛て要請文採択 平和首長国内会議が閉幕

 岐阜県高山市で開かれている平和首長会議(会長・松井一実広島市長)の国内加盟都市会議総会は6日、日本政府に核兵器禁止条約の締結を求める要請文を提出することなどを決め、2日間の日程を終えた。平和首長会議として、日本政府に明確に同条約の締結を求めるのは初めて。

 要請文は安倍晋三首相宛てで、米国が中距離核戦力(INF)廃棄条約の破棄を表明するなど核兵器廃絶に反する動きがあると指摘。「全ての国による核兵器禁止条約の締結を多くの被爆者が待ち望んでいる」として、日本政府に同条約に加わるよう求めている。

 日本政府は1日、国連総会第1委員会(軍縮)で、同条約の批准を促す決議案に反対した。総会で要請文の提出を提案した松井市長は「政府は核兵器保有国と非保有国の橋渡しをすると言うが、被爆者の思いを受け止めた対応をしてもらいたい」と意図を説明した。

 会議後の記者会見で、副会長の田上富久長崎市長は日本政府が同委員会に提出した核兵器廃絶決議案を米国が支持せず棄権したことに触れ、「どう橋渡しをするか難しくなっている。条約を世界の規範に育てるという私たちの立場を政府に訴えたい」とした。

 また、広島県の湯崎英彦知事が核兵器のない世界を2045年に達成するとの目標を表明したことについて、松井市長は「平和首長会議は20年までに廃絶とのビジョンで取り組んでいるが、目指す方向は同じ」と受け止めた。田上市長は「被爆者が生きている間にとの思いがあるが、20年は現実には厳しくなりつつある。新たなビジョンに向け議論を重ねる」と述べた。

 総会には2日間で、91市区町村から首長39人を含む148人が参加した。(明知隼二)

(2018年11月7日朝刊掲載)

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