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核廃絶 広島から行動を サーローさん、母校・広島女学院大で訴え

 昨年のノーベル平和賞授賞式で、非政府組織(NGO)の「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN(アイキャン))を代表して演説したカナダの被爆者サーロー節子さん(86)が23日、母校の広島女学院大(広島市東区)で講演し、核兵器廃絶に向けた被爆地からの具体的な行動を強く訴えた。

 サーローさんは広島女学院高女(現広島女学院中高)2年の時、爆心地から1・8キロの第二総軍司令部に動員されて被爆した。被爆死した同校の351人の名前が手書きされた横断幕を披露し、「核兵器廃絶を訴える時に携え、亡くなった皆さんと世界中を旅している。1945年末までに14万人、という広島の犠牲者の数字ではなく、一人一人の命の意味を知ってほしい」と語った。

 ICANのノーベル平和賞受賞につながった核兵器禁止条約の署名を、日本政府が核保有国と並んで拒んでいる現状に言及した。「核兵器の非人道性を73年間訴えてきた被爆者を無視し、裏切っている」と痛烈に批判。「広島から怒りを発信してほしい。沈黙は悪い政治を続けさせることを意味する」と強調した。

 条約の批准国を、発効に必要な50カ国に増やすことが「私たちの第一の課題」と訴え、広島市の平和行政に対しても、日本政府に批准を迫る行動を求めた。

 約千人が聞き入り、サーローさんの同級生も駆け付けて再会を喜んだ。同大を今春卒業した広島市中区の幼稚園教諭山田絵美佳さん(23)は「行動を、というサーローさんのメッセージが心に響いた。私は園児にも分かるよう平和の尊さを伝える行動を続ける」と話していた。(金崎由美)

(2018年11月24日朝刊掲載)

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