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被爆元徴用工 支援の弁護士ら会見「無念晴れたと思う」

 戦時中に広島で強制労働を強いられたとして韓国人の元徴用工5人の遺族が三菱重工業に損害賠償を求めた訴訟で韓国最高裁が同社に賠償を命じた29日、広島の同種訴訟を支援してきた市民や弁護士たちが広島市中区で記者会見を開き「(元徴用工たちの)無念が晴れたと思う」と喜んだ。

 5人は同社の広島造船所に動員されて被爆し、戦後に帰国した。1995年、同社と国を相手に広島地裁へ提訴したが、一審は敗訴。広島高裁と最高裁は、在外被爆者として手当支給を認めなかった国の対応を違法として賠償を命じたが、強制連行を巡る賠償は「請求権は消滅した」などと退けた。

 5人は釜山地裁にも提訴したが、その後に全員が死去。遺族が裁判を継承し、判決を迎えた。「韓国の原爆被害者を救援する市民の会」世話人の豊永恵三郎さん(82)=安芸区=は「日本ではかなわなかったが、無念が晴れたと思う」と感慨深そうに話した。

 広島訴訟の弁護団の一員だった広島弁護士会の足立修一弁護士は「原告からは苦難を強いられたと聞いていた。全員が亡くなったとはいえ喜ばしい」。弁護団長を務めた大阪弁護士会の在間秀和弁護士は「日本政府は判決を真摯(しんし)に受け止め、三菱重工業は判決に潔く従うべきだ」と求めた。(小笠原芳)

(2018年11月30日朝刊掲載)

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