×

社説・コラム

[ハロー ユニタール] 被爆樹木の子孫 世界に

 原爆の惨禍を生き抜いた被爆樹木の子孫を世界中に送り、平和のメッセージを伝える「グリーンレガシー・ヒロシマ(GLH)」の活動に、国連ユニタール広島事務所は協力しています。

 ボランティア約20人が11月24日、広島市中区の縮景園のイチョウや、広島城のクロガネモチから種を集めました。大きくえぐられたり、傾いたりしながらも毎年、たわわに実をつけ、新しい芽を伸ばす被爆樹木。かつて、75年は草木も生えないと言われながらも、その生命の息吹は今も、人々に希望を与え、自然の力強さを教えてくれています。

 GLHは2011年にユニタールと、NPO法人「ANT―Hiroshima」により設立され、30カ国以上の人々に被爆樹木の種や苗を送り続けてきました。24日に集めた種は、樹木医による保存のための準備を経て、広島市植物公園(佐伯区)でパートナーに送られるのを待つことになります。

 GLHコーディネーターで、ユニタール広島事務所シニア・アドバイザーのナスリーン・アジミさんは「息をのむほど美しい木々から種を分けていただいた。平和を切望する広島の願いを世界と分かち合う、ささやかながら奥深い一歩です」と笑顔で話していました。(松岡健太)

(2018年12月4日中国新聞セレクト朝刊掲載)

年別アーカイブ