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[こちら編集局です あなたの声から] 用具倉庫の撤去を延期

「平和公園で将棋ができなくなる?」

トイレ移設 市が転換 愛好家らと対話へ

 「うれしいことがあった」。弾むような声だった。平和記念公園(広島市中区)で将棋を楽しむ愛好家の一人が記者を訪ねてきた。10月、将棋道具の保管場所を巡る悩みを本コーナーで取り上げたが「半歩前進した」という。

 「声」の内容はこうだ。将棋盤や椅子などの道具の保管場所として、40年近く公園内の公衆トイレの倉庫を使用させてもらってきた。だがトイレの老朽化に伴い、市は「本年度中に撤去する」という。もう将棋ができなくなる。原爆被害から立ち上がろうとする市民の娯楽として、根付いてきたのに―。

 この声を受け、市は方針転換を打ち出した。「愛好家の皆さんと話し合い、一定の結論が出るまで撤去を延期する」という。市緑政課の久波一行課長は「これまで互いの言い分が行き来するだけで十分な話し合いができていなかった。将来に向けて建設的な議論をしたい」と話す。

 一方、個人が気の向くままに集まり楽しんでいた愛好家たちは、11月下旬に正式に同好会を結成し、意見を集約して市との話し合いに臨む。代表に就いた小野宏さん(53)=中区=は「市の対話姿勢はありがたい。公園の清掃やマナーアップに努め、模範となる行動を取りたい」と話した。(中川雅晴)

(2018年12月6日朝刊掲載)

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