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原爆慰霊碑 安全な地に 豪雨被災の小屋浦 一部埋没 移設検討 遺族らの意見求める

 原爆投下後に多くの被爆者が救護された坂町小屋浦地区で、犠牲者を弔う原爆慰霊碑の移設を住民が検討している。西日本豪雨で碑の一部が土砂に埋もれ、仮復旧はしたものの、安全な場所に移して後世に引き継ぎたい考え。「遺族の意見を聞きたい」と連絡先などの情報提供を呼び掛けている。(加納亜弥)

 広島市の広島原爆戦災誌によると、被爆した人たちが、同市内から小屋浦の国民学校や陸軍の救護所に続々と運び込まれた。約150人が住民たちの手で埋葬されたという。

 慰霊碑は埋葬地跡に1987年に完成。側面に93人の名が刻まれた。今も原爆の日前後に訪れる遺族がいるが、JR呉線の踏切のない線路を渡る必要がある。さらに7月の豪雨で土砂が崩れて一部が埋没。山の斜面は崩れたままだ。

 碑を管理するのは、小屋浦地区の被爆者有志でつくる「原爆慰霊碑を守る会」。11月以降、移設の候補地や時期について町と話し合っている。碑に刻まれた犠牲者の遺族に、手紙や電話で移設について意向を尋ねているが、1割程度しか連絡がつかないという。

 「異郷で最期を迎えざるを得なかった犠牲者をみとり、碑を建てた先人の思いを守りたい」と同会の西谷敏樹代表(73)。遺族や関係者からの意見を求めている。西谷代表☎082(886)8533。

(2018年12月16日朝刊掲載)

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