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かが空母化に懸念の声 岩国や母港の呉 「攻撃拠点化進む」

 政府が18日閣議決定した防衛大綱などで、呉市を母港とする護衛艦かが(1万9950トン)も飛行甲板を改修して空母化される方針が示された。搭載機をヘリコプターから最新鋭ステルス戦闘機F35Bにも拡大する計画には日本が戦後堅持してきた「専守防衛」の範囲を逸脱するという指摘も根強い。呉市や米軍基地を抱える岩国市にも懸念の声が広がった。

 かがは、政府が飛行甲板の改修を目指す海自最大の護衛艦いずもの同型艦。昨年3月に就役し、海上自衛隊呉基地を中心に活動してきた。政府は改修後は「多用途運用護衛艦」で「攻撃型空母」に当たらないとするが、日本がかつて保持していなかった攻撃力を持つことは間違いない。

 市民団体「ピースリンク広島・呉・岩国」の西岡由紀夫・呉世話人は「単なる言い回しの違い。かが改修後は呉基地の攻撃拠点化が進む」と懸念する。

 改修後のかがはF35Bの離着陸が可能になるため、同機が配備されている米軍岩国基地(岩国市)と共同訓練が進む可能性もある。西岡氏は「平和都市広島を挟む二つの基地が反戦の願いをないがしろにしてしまうのでは」と危惧する。

 基地監視団体リムピースの田村順玄共同代表(73)=岩国市=も「自衛力の範囲を超える。米軍と自衛隊の軍事的一体性が高まる」。事実上の空母化と新型機の導入は軍事力の強化にとどまらないと指摘する。

 中国や北朝鮮の反発も予想される。呉海上自衛隊協力会の岩沖卓雄会長は「隊員の安全や家族の安心を守るために緊張が高まらない努力もしてほしい」と願う。呉基地に勤務する海上自衛官の妻(30)は「いつ出動になるか不安も大きくなる。戦闘に巻き込まれるのは絶対に嫌だ」と胸の内を明かした。(見田崇志、浜村満大、藤田智)

(2018年12月19日朝刊掲載)

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