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中国地方 軍事拠点化進む イージス・かが空母化

 政府が21日に閣議決定した2019年度予算案の防衛関係分には中国地方から萩市が配備候補地の地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」や事実上空母化する呉市が母港の護衛艦「かが」などの経費が盛り込まれた。いずれも同年度から5年間の新たな中期防衛力整備計画(中期防)を踏まえたもので地域の軍事拠点化が本格化する。(和多正憲)

 イージス・アショアは取得関連費1757億円を計上。陸上自衛隊むつみ演習場(萩市)と陸自新屋演習場(秋田市)が候補地。防衛省は現在、配備先決定へ現地調査を続けているが、最終的な配備先が決まらないまま本体2基の先行取得を進める形となる。

 同省によると、取得費の一部を20年度以降に計上するため概算要求時の2352億円から大幅の減額。ただ、米国からの装備品調達にはローンによる分割払いができる「後年度負担」の仕組みのため最終的な総額は膨らむ見通しだ。

 海上自衛隊呉基地(呉市)を母港とする「かが」については同型艦「いずも」との2隻を改修する研究費7千万円を盛り込んだ。最新鋭ステルス戦闘機F35Bなどが着艦する際の甲板や艦内への影響を調べる予定で、空母化に向けた関連予算が初めて計上された格好だ。

 同省は「調査研究の結果を踏まえ、2隻の改修時期を決める」と説明。中期防の計画期間である23年度中の運用開始を目指す。

 さらに海自山陽受信所跡地(山陽小野田市)への宇宙監視レーダー配備と運用システムの取得費260億円を計上した。米軍と情報共有し、宇宙ごみに加えて他国の人工衛星を攻撃する「キラー衛星」を監視。航空自衛隊に新設する「宇宙領域専門部隊」が対応する。

(2018年12月22日朝刊掲載)

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