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被爆者の遺志継ぎ 朗読者養成 広島の事業参考 千葉県習志野

 千葉県習志野市が本年度、「被爆体験朗読者」の養成に取り組んでいる。市内で証言活動を続けてきた被爆者2人の体験記を語り継ぐのが狙いだ。この2人が6月以降に相次いで亡くなったこともあり、受講者は「遺志を継ごう」とあらためて決意。証言を収めたDVDを見たり、体験記を読み込んだりしている。

 市は市内の被爆者団体の要請を受け、「被爆体験伝承者」を養成する広島市の事業などを参考に、原爆被害の実態や話法などに関する全8回の養成研修を企画。4月に募集し、50、60代の女性4人が申し込んだ。修了者には来年度から市内の小中学校で活動してもらう。

 習志野市では、長崎で原爆に遭った青木茂さんと広島で被爆した小野英子さんが証言活動を担い、市は2人の体験記の朗読を想定している。しかし、青木さんは研修が始まる直前の6月、93歳で死去。小野さんは7月の初回で壮絶な被爆体験や平和への思いを受講者に語ったものの、10月に79歳で亡くなった。

 受講者は11月から、原爆をテーマにした朗読劇に取り組む俳優を講師に招き、読み聞かせの練習に入っている。受講者の一人、折出幸子さん(68)は、数年前から交流のあった小野さんの体験を語ると決めた。「もっと勉強し、小野さんが訴え続けた核の恐ろしさ、戦争の悲惨さを子どもたちに伝えたい」と話している。(田中美千子)

(2018年12月24日朝刊掲載)

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