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被爆2世の苦悩 反核の半生つづる 川崎の森川さん出版

広島伝承者研修での決意も

 川崎市在住の被爆2世で、広島市の被爆体験伝承者を目指している森川聖詩さん(64)が、著書「核なき未来へ―被爆二世からのメッセージ」を出版した。半生を振り返り、被爆2世として感じてきた苦悩や、反核への思いなどをつづる。

 森川さんは、神奈川県原爆被災者の会二世支部の副支部長。父の定実さん(2011年に95歳で死去)は、勤め先のNHK広島中央放送局(爆心地から約1キロ)=現中区幟町=で被爆し、戦後は1966年に「川崎市折鶴の会」を結成するなど、反核運動に携わった。

 著書では森川さんが東京の大学を卒業後、結婚や就職で差別を受けたことや、被爆2世として健康上の不安を抱えてきたことなどをつづる。16年に日本郵便を退職し、翌年から被爆者の篠田恵さん(86)=中区=など3人の被爆体験伝承者を目指し、研修を受ける中で芽生えた決意も記す。

 「被爆者の父を身近に見て育ち、被爆体験を伝えていくことの大切さを強く感じている。多くの若い人に読んでほしい」と森川さんは話す。巻末には被爆者団体や被爆2世の運動の年表も付けた。現代書館刊。381ページ。3240円。(桑島美帆)

(2019年1月14日朝刊掲載)

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