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上関原発訴訟 訴え却下 山口地裁判決「原告適格ない」

 中国電力上関原発(山口県上関町)建設予定地の海を埋め立てる免許を巡り、反対する地元漁業者たちが県に取り消しを求めた二つの訴訟で23日、山口地裁(福井美枝裁判長)はいずれも「原告適格がない」として、訴えを却下した。10年に及ぶ訴訟は「門前払い」で終わり、両原告団は控訴する方針でいる。

 予定地西4キロの同町祝島の漁業者と、自然保護団体などを原告とする2訴訟は、ともに原告に当事者としての適格性があるかが最大の争点となっていた。同地裁はこの点を先に判断する「中間判決」を出すとして昨年7月に結審。原告適格が認められれば、審理再開の予定だったが認められず、一審判決となった。

 判決は、公有水面埋立法上の権利者を、工事による水質悪化などで健康や生活環境に著しい被害を直接受ける恐れのある者などと明示した上で、両原告はそれに該当しないとして適格性を否定。また、原発事故の危険から保護される権利については、海の埋め立てによって原発事故が発生するという関係性はないとして考慮の対象外とした。

 漁業者の原告団代表山戸貞夫さん(68)は「10年もったいなかったな」と漏らしつつも、「生きている限りは闘い続ける」と控訴審へ気持ちを新たにしていた。

 判決を受け、村岡嗣政知事は報道陣に「県の主張が基本的には認められた」と説明。中電上関原発準備事務所は「当事者ではないのでコメントを控える」とした。(堀晋也、門脇正樹)

(2019年1月24日朝刊掲載)

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