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被爆アスファルト舗装か 平和公園のレストハウス改修現場地中 市「当時の営み分かる」

 平和記念公園(広島市中区)にある被爆建物のレストハウスの改修現場で、被爆当時の舗装路面とみられるアスファルト敷きが見つかったことが30日、分かった。被爆時の地層とみられる地中約60~70センチから出土し、市は「当時、街があり、人の営みがあったことが分かる資料」と評価。改修で旧中島地区に関する展示室を設けることもあり、アスファルト敷きの保存や活用方法を検討している。(江川裕介)

 昨年11月、市文化財団による試掘で出土。レストハウスの南側の地面で東西方向に幅1メートル、長さ7メートル、深さ60~70センチを手掘りし、発見した。灰色っぽいアスファルトで、一部、土に覆われたままの状態だが、面状につながっているとみられる。アスファルトは写真で記録し、保存方法などを検討中。試掘の断面からは無数の焼けた瓦や土、石も出てきた。

 出土場所は爆心地から約200メートル。被爆前に民家や商店などが立ち並んでいた旧中島本町で、病院があった場所の前辺りに当たる。戦時下の呉や広島を舞台にしたアニメ映画「この世界の片隅に」でも、当時、大正屋呉服店だったレストハウスそばの道が描かれている。

 改修を進める市観光政策部によると、平和記念公園は焼け野原の上に盛り土をして造られており、舗装は被爆当時の物の可能性が高いという。舗装を巡っては公園内で、1999年12月に国立広島原爆死没者追悼平和祈念館の建設現場から出土したほか、昨年12月には、旧中島地区の遺構公開に向けた試掘調査でも確認されている。

 改修現場では、3月まで建物の周辺で発掘を続ける。4~6月には現在、トイレがある増築予定の箇所も掘ることになっており、新たな出土品が見つかる可能性もある。

 レストハウスは2020年7月に再オープンの予定で、3階に旧中島地区の街並みを再現した模型などを置く展示室を設ける。同部の中田忠・おもてなし推進担当課長は「被爆の記憶を伝える実物の資料は重要。再オープンする原爆資料館本館や遺構展示の方向性を見ながら、出土品の展示も検討したい」としている。

(2019年1月31日朝刊掲載)

旧天神町筋の舗装確認か 平和公園 広島市1次試掘終了(2018年12月13日朝刊掲載)

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