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8・6「哀悼歌」 作曲者悼む 東京で川崎優さん音楽葬

 毎年8月6日の広島市の平和記念式典で演奏される「祈りの曲第1『哀悼歌』」の作曲者で、昨年11月に94歳で亡くなった作曲家川崎優さんの音楽葬が24日、東京都内で営まれた。フルート奏者でもあった川崎さんの教え子、音楽関係者たち約200人が参列。川崎さんの曲を演奏し、追悼の思いをささげた。

 参列者が遺影に花を手向けた後、米国在住の長男雅司さん(63)が「父の作品は家族の宝であり誇り。父の豊かな音楽人生を支えてくださった皆さんに感謝する」とあいさつした。教え子たちは次々にフルートやバイオリンを奏でた。

 川崎さんは少年時代の一時期を広島市で過ごした。東京音楽学校(現東京芸術大)在学中に徴兵されたが、肺病を患い、広島市西観音町(現西区)の親戚宅で療養中に被爆した。戦後は神奈川県茅ケ崎市で暮らし、被爆から30年後の1975年、哀悼歌を広島市に寄せた。

 音楽葬では、生前の川崎さんを追ったテレビの報道番組も紹介。封印していた記憶と向き合い、哀悼歌を作った心境を「命を永らえてありがたいが、亡くなった方に本当に申し訳ない。その思いを表した」と語る映像が流れると、参列者は涙を拭っていた。(田中美千子)

(2019年2月25日朝刊掲載)

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