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豪雨で埋没 慰霊碑移設へ 坂町小屋浦の被爆者有志

 原爆投下後に多くの被爆者が救護された広島県坂町小屋浦地区で、犠牲者を弔う原爆慰霊碑を守る住民グループが碑を地区中心部に近い公園に移設する方針を決めた。昨年7月の西日本豪雨では碑の一部が土砂崩れで埋没。安全な場所に移すため、遺族の意思確認などを進めていた。移設費用は町が負担する方針。

 慰霊碑は現在、JR呉線沿いの山際にある。線路を横切らないと行けない場所で、訪れる遺族や地域の子どもの安全のため豪雨前から移設を検討していた。豪雨で背後の斜面が崩れ、抜本的な安全対策が難しいことから、移設議論を本格化させていた。地区内の小屋浦公園への移設を予定し、ことしの8月6日に間に合うように作業を進める。

 地元の被爆者有志でつくる「原爆慰霊碑を守る会」の西谷敏樹代表(73)たちが、把握している遺族に手紙や電話で連絡し、理解を得た。費用は町が負担する方針で、2019年度一般会計当初予算案に関連費用156万円を盛り込んだ。

 小屋浦には原爆投下後、広島市内で被爆した人たちが次々と運び込まれた。1971年発行の市の広島原爆戦災誌によると、一帯には約150人が埋葬された。碑の側面には確認された93人の名が刻まれている。

 西谷さんは「安全な場所なら子どもたちの平和学習も安心してできる。後世への継承にもつながる」と期待する。現在地には、移設を知らせる看板などの設置を検討している。(明知隼二)

(2019年3月8日朝刊掲載)

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