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被爆遺構 発掘拡大へ

広島市懇談会 展示見据え方針

 平和記念公園(広島市中区)の地下に残る旧中島地区の遺構の展示公開に向けた市の懇談会の第3回会合が30日、原爆資料館(中区)であった。昨年12月の試掘調査の結果を報告。将来の展示を見据え、より広い範囲での発掘調査を、2019年度の早期に実施する方針で一致した。

 考古学者や被爆者たち委員7人が出席。昨年12月3~12日に同館東館の北側緑地帯を溝状に試掘した結果、「旧天神町筋」にあった民家の一部とみられる遺物が見つかったことを市の担当者が報告した。

 20年度の展示公開を目指し、遺構の位置と範囲を確定させるための今後の調査では、旧天神町筋から西に6~7メートル離れた地点を中心に、約25平方メートルの範囲を面状に掘る案を示した。市側は「市民の暮らしぶりを伝える生活用品の遺物は、道から奥まった居室にある可能性が高い」と説明した。

 この案に対し、複数の委員から「必要な情報を得るにはもっと範囲を広げて調べるべきだ」との声も出た。同公園は国名勝で景観保護が必要なため、市の案に沿って調査し、結果を懇談会で検討した上で、調査範囲の拡大を再検討する方針で合意した。

 展示に際し、資料館東館と遺構を結ぶ園路を整備するとの市の提案には「旧天神町筋に沿ったルートが望ましい」との意見が出た。座長の三浦正幸・広島大名誉教授(建築史)は「保存と展示の両立など課題は多いが、原爆で暮らしが奪われた惨状を伝えられる展示を目指したい」とした。(明知隼二)

(2019年3月31日朝刊掲載)

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