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旧中島地区 発掘を開始 遺構展示へ広島市

 原爆投下で壊滅し、平和記念公園(広島市中区)地下に残る旧中島地区の遺構の展示公開に向け、市は16日、原爆資料館東館の北側の緑地帯で発掘調査を始めた。公開する遺構の位置や範囲を確定させるため、昨年12月の試掘結果を踏まえてより広い範囲で遺構の状態を調べる。

 発掘するのは、材木店や民家などが並んでいた「旧天神町筋」の西側の約25平方メートルの範囲。試掘調査した地点の周辺で、炭化した木材といった民家の痕跡や、市民の暮らしを伝える生活用品の遺物などの出土を想定する。この日は作業スペース確保のため、市の委託業者が20メートル四方を金属製のフェンスで囲った。実際の掘削は24日に着手する。

 調査は7月下旬まで。結果は専門家や被爆者でつくる市の懇談会に報告する。懇談会での検討を踏まえ、必要に応じて範囲を拡大しての再調査も視野に入れる。7月をめどに、市民向けの現地見学会の開催も予定している。

 市は2020年度の展示公開を目指す。中川治昭・被爆体験継承担当課長は「調査や検討を通じ、できるだけ多くの人に納得してもらえる展示にしたい」としている。(明知隼二)

(2019年5月17日朝刊掲載)

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