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社説・コラム

『記者縦横』 核廃絶賛否 投票参考に

■東京支社 田中美千子

 お薦めのインターネットサイトがある。核兵器禁止に賛成か反対か、国会議員それぞれの見解を閲覧できる「核兵器Yes or No⁉ 議員ウォッチ2019」である。五十音順や政党別などで整理され、地元選出議員の情報も手軽に探せる。核廃絶を願う有志が先月、開設した。

 10人足らずで手掛けた労作だ。中心メンバーの神戸大大学院生、安藤真子さん(24)=兵庫県宝塚市=はまず、衆参両院の700人を超える全議員にメールや手紙を送り、核兵器禁止条約の締結を求める「ヒバクシャ国際署名」への賛否やその理由を尋ねた。反応が鈍かったため、電話で促し続け、開設までに何とか80人分の回答を集めた。

 安藤さんは広島市東区出身。昨年、東京の非政府組織(NGO)ピースボートの船旅で、被爆者と世界を巡った。悔しかったのは行く先々で「被爆国が禁止条約に反対しているとは」と言われたことだ。帰国後、サイト発案者でもあるピースボートの川崎哲(あきら)共同代表に協力を求められ「日本の政治を変えられるなら、ぜひやりたいと思った」。

 有志は議員への要請を続け、回答があるたび更新している。利用者が各議員へ意見を送れる機能も付けた。「世界には大量の核があり、みんな被爆者になりかねない。政治に任せればいいと思わず、一人一人が核問題を真剣に考えてほしい」。安藤さんは願う。

 もうじき「選挙の夏」。思いを託す先を自ら選択する機会だ。サイトを判断材料の一つにしてはいかが。

(2019年5月17日朝刊掲載)

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