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地上イージス山口配備 国調査内容整理 14日から説明会

「部品落下は演習場内」/電磁波・水「被害ない」

 地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」の山口県内への配備計画で、防衛省は14日から、陸上自衛隊むつみ演習場(萩市)を「適地」とした調査結果について萩市と阿武町で住民説明会を開く。もう一つの候補地の秋田県側に示した調査結果ではミスが発覚し紛糾。山口でも反対は強く理解を得られるかは不透明だ。国が示した調査結果の内容を整理した。(和多正憲)

■落下物

 迎撃ミサイルは発射直後に1段目のブースター(重さ約200キロ)を切り離す。北朝鮮方向に発射した場合、演習場と日本海に挟まれた阿武町の上空を通過する。住民からは「破片が落ちてこないか」と不安視する声が上がっていた。

 国は迎撃ミサイルの飛行経路をコントロールし「演習場内にブースターを確実に落とす」と説明。演習場上空の風速や風向を測り落下位置を計算できるとする。

■電磁波

 イージス・アショアは弾道ミサイルを探知するためにレーダー波を出す。住民は電磁波による人体や農作物への影響を懸念する。国は現地調査の結果を踏まえ「レーダーから半径230メートル離れた場所では安全」と分析。レーダー周囲に電波を吸収する壁も設け、演習場外に影響が及ばないようにするという。

■水環境

 演習場周辺は農村地帯のため、施設建設による農業用水や水源への被害を心配する声も多い。国は建物や舗装で地表を覆う面積を少なくし、雨水を地下に浸透させる施設も整備する。「地下水・湧水や貯水池の水量・水質に影響がないようにする」としている。

■標的リスク

 演習場内にはレーダーやミサイル発射装置、火薬庫などを配置する。「テロなどの標的にならないか」との地元の訴えに対し、国は万全の警備態勢を強調。約250人を配備し、警察や海上保安庁とも連携。緊迫時には近くの駐屯地から増員して対応する。

■まちづくり

 移住施策に力を入れる阿武町では、迎撃ミサイル配備による「移住者離れ」を最大の反対理由に掲げている。これに対し国は「Iターン・Uターン者の不安を解消したい」と説明し、配備の安全性をホームページなどで周知する。さらに県外の自衛隊員が地域清掃や祭りに参加する例を挙げ、配備後には「部隊も地域コミュニティーの一員としてまちづくりに協力・貢献できる」と強調する。

(2019年6月9日朝刊掲載)

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