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核・震災…「後ろ」見詰め前へ 広島で山口啓介さん回顧展

 核問題などを題材に創作を続ける美術家山口啓介さん(57)の回顧展「山口啓介 後ろむきに前に歩く」が8日、広島市現代美術館(南区)で始まった。絵画や立体作品計約120点で表現の軌跡をたどる。

 1980年代後半に注目された大型の銅版画をはじめ、カセットテープの透明ケースに花や種子を閉じ込めた立体、植物や人体をモチーフに命と向き合った絵画などが並ぶ。被爆地広島と原発事故の被災地福島のイメージを重ねた新作は、縦約3・5メートル、横約5メートルの巨大な絵画作品だ。

 東日本大震災の3日後から毎日欠かさず付ける「震災後ノート」も紹介。原発に関するニュースを書き写し、絵を添えている。

 山口さんが過ぎ去った「後ろ」を見詰めながら生み出した多彩な表現が、来場者を圧倒している。

 同館と中国新聞社の主催で9月4日まで。月曜休館。(森田裕美)

(2019年6月9日朝刊掲載)

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