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被爆者の短歌引用へ 広島市平和宣言 市長が方針

 広島市のことしの平和宣言の文案を検討する懇談会の第2回会合が11日、市役所であった。松井一実市長は、核兵器廃絶を願う被爆者の心情を効果的に訴えるため、被爆者が自らの体験を基に詠んだ短歌などを引用する考えを示した。

 懇談会は冒頭を除き非公開。座長の松井市長が示した骨子について、委員7人を交えて議論した。

 終了後に報道陣の取材に応じた松井市長によると、短歌に加えて被爆者2人の体験談を引用。被爆の実態や平和への願い、被爆者たちによる核兵器廃絶に向けた行動を紹介する。さらに、近年の平和宣言で強調した「寛容」と「理性」をキーワードに、世界の政治指導者たちに核兵器のない世界を実現するための行動を促す内容になるという。

 松井市長は、短歌を採り入れる理由について「日本語でうまく状況を思い浮かべてもらえるだけでなく、印象的に英訳できればインパクトもある」と説明。宣言全体については、核軍縮に逆行する国際情勢を踏まえ「ヒロシマの心を怒りやとがった形ではなく、『そうだな』としっかり受け止めてもらえるように整理したい」と話した。

 次回会合は7月中旬に開き、文案を検討。委員の意見を踏まえて、8月6日の原爆の日までに松井市長が起草する。(明知隼二)

(2019年6月12日朝刊掲載)

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