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ジュノー博士の志 継承 中区で功績しのぶ記念祭

 被爆直後の広島に大量の医薬品を届けて治療に尽力したスイス人医師マルセル・ジュノー博士(1904~61年)をしのぶ記念祭が16日、広島市中区の原爆資料館であった。県医師会や日本赤十字社県支部などでつくる実行委員会が主催し、今年で30回目。約200人が集い、功績をたたえた。

 実行委員長の平松恵一・県医師会長(78)が「人道的で勇気ある行動に多くの市民が救われた。後世に継承しなければならない」とあいさつ。ガールスカウトとボーイスカウトの県連盟の代表8人は「遺志を受け継ぎ、平和の大切さを発信したい」と「平和の誓い」を読み上げた。式典後、参加者は資料館そばの顕彰碑に白菊を手向けた。

 平和の誓いを読んだ府中緑ケ丘中1年亀井春花さん(13)=府中町=は「博士の強さと優しさを胸に、平和のためにできることをしたい」と話していた。

 赤十字国際委員会駐日首席代表だったジュノー博士は45年8月9日、連合国軍捕虜の支援のため来日。被爆地の惨状を知り、連合国軍総司令部(GHQ)に働き掛けて翌月、15トンの医薬品を携えて広島入りし、救護所などを回った。

 記念祭は県医師会などが90年に初めて開催。毎年、命日の6月16日前後に催している。(教蓮孝匡)

(2019年6月17日朝刊掲載)

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