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広島大跡地の平和研究拠点 市が本年度基本計画

 広島市中区の広島大本部跡地にある被爆建物、旧理学部1号館に新たな平和研究拠点をつくる構想で、広島市は本年度、整備に向けた基本計画をまとめる。広島大と市立大が各平和研究部門の移転方針を示したことを受け、平和研究や教育の内容、必要な施設整備などを整理する。

 1号館には、市の有識者懇談会の提案に沿い、両大学と市で「ヒロシマ平和教育研究機構」(仮称)を設ける方針。基本計画には、3者で取り組む研究や教育の内容、必要な施設のイメージと整備費用の概算、運営体制などを盛り込む。

 施設整備では、市は既にE字形の建物のうち正面棟をI字形に残す方針を決め、改修費を概算で18億5千万円と試算している。松井一実市長は4月、中国新聞のインタビューで「(1号館の)後ろに、次の建物を建てることをイメージしている」と建て増しの可能性に言及。市都市機能調整担当は、方針をベースに「研究・教育に必要なスペースや機能、建物の劣化状況などを総合的に考える」としている。

 3者の費用負担も今後の課題となる。同担当は「まずは取り組みや施設整備の内容が見えないと議論は難しい」と説明。基本計画をまとめた上で、国補助の活用を含めて3者の負担について議論を深めるとした。

 市は当面、両大学との実務レベルの協議を継続して計画案をまとめ、年内にも開く有識者懇談会での議論を経て決定する。本年度の補正予算に懇談会の開催費用など約629万円を計上した。(明知隼二)

(2019年6月27日朝刊掲載)

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