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岡山で原爆慰霊祭 県内遺族ら50人 平和な社会誓う

 岡山県原爆被爆者会は1日、原爆死没者慰霊祭を岡山市北区の宿泊施設で開いた。被爆者や遺族たち約50人が犠牲者の冥福を祈り、平和な社会の実現や核兵器廃絶を誓った。(中島大)

 全員で黙とうした後、土屋圭示会長(91)=笠岡市=が慰霊の言葉を述べた。「74年たった今も広島の惨状は頭の中から離れない」とした上で、「尊い多くの犠牲の上に今日の平和があることを次世代に語り継ぐ責務がある。命の続く限り、被爆体験を語り続けたい」と語った。

 土屋会長は原爆投下後、江田島の水上特攻基地から救援隊として広島に入り被爆。「太田川の大勢の亡きがらを引き揚げて担架で運んだ。運んでは敬礼し、お別れした日々は決して忘れられない」と話した。

 参列者は祭壇に花を手向け「原爆を許すまじ」を合唱した。平末豊副会長(88)=岡山市南区=は「生き残った者が、平和な社会の実現に向け頑張っていく」と力を込めた。

 県によると、県内の被爆者手帳を所持している人は3月末現在で1285人。男性573人、女性712人で平均年齢は84・1歳。2018年度は107人が亡くなったという。

 同会は慰霊祭後、総会で新たな会長に広信靖之氏(75)=同=を選んだ。5年間務めた土屋会長は高齢のため役員から退く。

 同会は会員475人。1952年に発足し、被爆65年の10年と70年の15年に、それぞれ記念碑を建立している。慰霊や伝承のほか、会員の健康診断の受診奨励や相談を主な事業としている。

(2019年7月2日朝刊掲載)

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