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防衛相ひたすら低姿勢 イージス不手際 争点化回避の見方も

 地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」の適地調査を巡り、防衛省トップが3日、山口県の地元首長に一連の不手際を陳謝した。もう一つの候補地の秋田でのミスに端を発した騒動に岩屋毅防衛相はひたすら低姿勢を貫く。参院選の公示を目前に争点化を避けたい政府与党の思惑を指摘する声も出ている。

 「山口県の皆さまにも大変なご心配をお掛けした」。岩屋防衛相はこの日、まず秋田での調査ミスや職員の居眠りを挙げ村岡嗣政知事らに頭を下げた。「誤りはない」とする山口の調査結果についても資料ごとに異なる地図データの数値を引用した点を「誤解や混乱を招いた」と釈明した。

 山口訪問に先立つ6月17日、岩屋防衛相は秋田県の佐竹敬久知事らに早々と謝罪。同月15日には自民党の岸田文雄政調会長も同県内の演説会で「憤りを感じる。今の状況で設置の可否は判断できない」と語気を荒らげ防衛省を突き放した。

 山口県の自民党県連幹部は「こっちでイージスの争点化はないだろう」と「対岸の火事」を決め込む。野党県連幹部は、防衛相の対応について「争点としないため頭を下げて火消しに走っている」とみる。

 ただ、候補地である萩市の陸上自衛隊むつみ演習場の地元では国への反発が広がっている。

 「防衛省の一方的な論理だけが説明され、かみ合わない」。3日の岩屋防衛相との会談で同県阿武町の花田憲彦町長は計画を撤回するよう切々と訴えた。配備の是非を示さず「再発防止」だけを求める村岡知事や藤道健二市長との違いが際立った。(和多正憲)

(2019年7月4日朝刊掲載)

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